たったひとつ

―― the star festival in MIDGAR

「そういえば、今日は七夕だったな」
訓練所からの帰り道、願い事が託された短冊を見て友が言った。
故郷で見るそれとは比べものにならない数少ない星の空。
それでも、こんな大都市で見る今夜の星空はいつもより輝いて見えた。

―― ピンチのときは助けに来てね
星降る夜は彼女との約束を思いだす。
故郷を離れて一年。
そう言った彼女に認めてもらいたくて、強くなった自分を見てもらいたくて、今こうしている日々。
辛い訓練もその約束だけが自分を支えている。
「願い事かー、じゃあ俺は早く俺だけの織り姫ちゃんに出逢えることと、ソルジャーとして大活躍すること、それから……」
たくさんの願い事を口にする友に苦笑いながら、俺も星に願いをかけた。
願いたいことはただひとつ。
―― 彼女に逢いたい





―― the star festival in NIBELHEIM

たくさんの星が瞬く七夕の夜。
それでもあの日の星空と比べたら霞んで見えた。
彼がこの地を離れて一年。
たった一年なのに、ずいぶんと月日が経過しているような気がした。

元気にしてる?
ソルジャーになったかな?
私との約束、覚えてる?
あの日から何の音沙汰もないけれど、考えるのはあなたのことばかり。
そして七夕の今夜、願いたいことはたくさんある。
だけど、本当に叶えてくれるならひとつでいい。
―― 彼に逢いたい


2007年七夕記念小話。
離ればなれでも同じことを考えるクラウドとティファ。星空を見るたび、二人がそんな風に思ってたらいいな。

(2007.07.05)
(2018.09月:加筆修正)

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