アフォリズム

湯を注いだカップからジャスミンの香りが立ち込めて、ティファはほっと一息ついた。
店を開けるための下準備も終わり、あとは表にある準備中の札を営業中に切り替えれば開店だ。
そんな仕事始めの僅かなひととき。
紅茶を一口飲んだティファは、自分しかいないことを確認するかのように店の中を見まわす。当然のことながら開店前の店内には自分以外の人影はない。
そう確認したあと、ティファは席を立ち、自分の聖域でもあるカウンターの内側へと入った。
カウンターの下は収納スペースとなっている。
ティファはもう一度周囲に目を配り、それからおもむろに身を屈めると、そこに隠すようにしまっていた一冊の雑誌を取り出した。そして、表紙を隠すようにしながら雑誌を胸に抱えて、先まで腰を下ろしていた場所まで戻る。
そうするティファの顔は心持ち赤い。
椅子に座り、腰をゆっくりと落ち着けたところで抱えていた雑誌をテーブルの上に置いた。

―― 甘え上手な女
若い女性をターゲットにしたよくある情報誌だ。
見出しを飾るその文字は今回の特集記事らしく、他の文字よりも一際大きく打ち出されている。
昨日、買い出しに出た際に本屋で見つけたこの雑誌。
興味のない特集なら見向きもしないけれど、しかし今回の表紙を飾る謳い文句にはティファの足がふと止まり、気づいた時にはこの雑誌を手にレジに向かっていたのだ。
甘えてみたいけれど甘えられない。
日頃から思うそんな性格の自分に、この雑誌がなんらかの答えを導いてくれるような気がした。


気持ちおごそかにそろりと表紙をめくると、そこには場面場面での甘え方の良い例や悪い例、男性から見た甘え上手な可愛い女、といった記事が数ページに渡り記載されていた。
まずは手始めにとばかりにある、あなたのタイプは?といったフローチャート式の質問にイエスとノーで答える。
結果はやっぱりと思う甘え女度30%以下。
思っていることの半分も言えないあなたは――
そんなことが長々と書かれている。そしてそれがまたいちいち当たっていたりするだけに、それはまるで見ず知らずの人から自分の性格をダメ出しされているような気持ちになってティファはため息をついた。
生まれ持った性格だもん……
そう言ってしまえば身も蓋もないことを雑誌に零しながらページをめくる。
こんなことをしてはダメ、あんなことをすれば男はよろこぶ、みたいなことが時や場面ごとに事細かく例をあげて記載されている。
そうした内容は恋愛に関して奥手なティファでも何となく理解しているようなことばかり。
そうするにはどうすればいいのか?
もっと具体的に根本的なことから改善できる記事をこの雑誌に求めていただけに、この先を読み進めてもそれに期待できそうもない感じがティファのページをめくるスピードを早めさせ、字を追う目をすべらせた。
結局のところ自分でなんとかするしか解決策はないのだと、そういう結論に達したその時――


「な~に読んでるの?」
背後からの突然の声がティファの身体をビクッと震わせて、小さな悲鳴を上げさせた。驚いて振り返ると、その目の前には作戦成功とばかりによろこぶユフィの姿。
「これぞウータイ秘伝、忍びの術!」
得意げに胸を大きく反らせてニシシッとユフィは笑うと、ひょいと跳ねるようにティファのとなりに座った。
「気配に気づかないなんてティファも落ちたね~。ていうか、何をそんな真剣に読んでたのさ?」
ユフィに雑誌を覗きこまれて、ティファは慌ててそれを隠そうとした。
俊敏さでいえばティファもなかなかのものだけど、それでもユフィには敵わない。
雑誌はあっさりと取り上げられた。
「あ、やっ! 返して!」
必死になってそれを取り戻そうとするティファの手をユフィは自分の背中で阻止しながら、雑誌の表紙に素早く目をやった。
「なになに、甘え上手な女?」
「ユ、ユフィ!! 返してったら!」
買うのも恥ずかしかったそれを声を大にして読み上げられて、ティファは真っ赤な顔で抗議する。
しかしそんな声をものともしないユフィは雑誌をパラパラとめくって一通り目を通した後、大体の内容を把握したところでそれをティファに返した。
「甘え上手な女になりたいの?」
「……」
「ねえねえ、なんで?」
そう言ってにじり寄るユフィからは面白がっている様子がありありと見える。
だから尚更、ティファは頑なに口を閉ざした。
するとユフィは意地の悪い笑みを浮かべながら、
「ねえ、教えてくれなきゃこの雑誌のこと、クラウドに言っちゃうよ?」
言いながら、携帯電話をティファの前でちらつかせる。
それがただの脅しでないことは百も承知。
ティファは観念したとばかりに深いため息を零すと、言いづらそうに小さな声で言った。
「……自分から甘えてみたいと思ったの」
「甘えればいいじゃん」
「そ、それが出来ないからこれを買ったの!」
奪い取った雑誌を胸に抱えながらティファは頬を膨らませた。
「ふ~ん……で、ティファの甘えるってどんなこと?」
「……」
「言ってくれなきゃ……」
最後までは言わずに、さっきと同じように携帯電話をちらつかせる。
そうするユフィをティファは一層恨めしげに見つめながら、ため息まじり仕方なさそうに話はじめた。
「キ、キスして欲しいなとか……」
「クラウドはキスしてくれないの?」
「し、してくれるけど……」
「じゃあいいじゃん」
「だ、だからそうじゃなくて………」
そう言ったきり、ティファは真っ赤な顔で口ごもった。

恋愛系の話をするときはいつもこんな感じのティファだから、そんな彼女の性格をよく知るユフィは辛抱強く彼女からの言葉を待った。
しかし、そうやって待ったあとに続いたティファの言い分はユフィの肩をガックリと落とさせるのだった。
「クラウドからのキ、キスを待つだけじゃなくて、その……自分からそうしたいって思うときもあるじゃない?」
ユフィはもっとすごい悩みを期待していたのだ。
あまりにも期待はずれに終わったその内容に、ユフィはいささか呆れ気味にティファを見やりながら言う。
「そんなのチュウしてって言えばいいだけじゃん」
「だ、だからそれが出来ないから……」
先ほどから同じやりとりの繰り返しをしていることに、ティファはそっとため息をついた。
そうするティファをユフィは不思議でならないといった目で見る。
「なんで言えないのさ?」
ユフィにとっては素朴な疑問だった。
恋人未満の相手にそれを言うのは勇気がいるだろうけれど、ティファたちは違う。
今更そんなことを照れる間柄でもないだろうと思った。
けれど、いま目の前で顔を真っ赤にしているティファをみていると……
(ティファには無理か……)
心密かにそう思い、案の定、そのあとに続いた言葉がユフィの肩を盛大に落とさせた。
「だって……恥ずかしいし……今はそんな気分じゃないって思うかもしれないし……」
ユフィは面倒くさいとばかりにくしゃくしゃと頭をかきむしる。
「あのさ~ティファは頭ん中でいろんなことをうだうだと考えすぎなんだよ。もっと自分の思うことを素直に口にしてみなよ」
「考えすぎ?」
「そう考えすぎ! あたしから言わせるとね、ティファからチュウしてなんて言ったらクラウド喜んじゃってチュウどころか余計なことまですると思うね」
ふたりをよく知る仲間たちが聞けば、全員が全員、自分の意見に大きくうなずくであろうとユフィは確信する。
それなのにティファは尚も不安の言葉を口にするのだ。
「……鬱陶しいって思われない?」
「思わない! だいたいね、自分がキスしたいと思ったときは相手もしたいって思ってるもんなの!」
「そう……かな?」
「そうなの!!」
最後は有無を言わせないようにそう言い切って、ユフィはティファの飲みかけの紅茶を飲んだ。
そして飲みながら、完全に押し黙ったティファをちらりと横目で見る。
半信半疑といった表情でまだ少し考える風な顔をしている彼女を見て、ユフィは思うのだ。
彼女の悩みのほとんどは徒労に終わっていることのほうが多いのではないだろうか、と。
「まあでもさ、そんなところがティファらしくて可愛いとか誰かさんは思ってるんだろうけどね」
誰かさんの声を代弁した。
ユフィの言うその誰かさんを意識して、ティファは頬を染める。
そしてそれネタにからかわれる前にティファは話題をすり替えた。
「そ、それよりも今日は突然どうしたのよ?」
するとユフィは、その小さな口をぷうっと尖らせた。
「なにそれ、ひっどいな~人を暇人みたいに。今日はさ、あたしのかわいい弟分たちのお泊まりの日だろ! ティファは忙しいだろうと思ったからこのユフィちゃんがこうして直々に迎えに来てやったっていうのに」
そう言われて、ティファは「あっ!」と思い出したような声をあげてから、慌ててユフィに謝った。

ユフィの言うかわいい弟分たちとはデンゼルとマリンのことだ。
そのふたりは、月に一度ユフィの家へ泊まりに行くのが最近の定例行事となっている。
ウータイにあるユフィの家はとても広く、また忍びの家ならではのからくり仕掛け満載の屋敷が子どもたちを遊び飽きさせない。
そして何より、真剣に自分たちの遊び相手となってくれるユフィをデンゼルとマリンはとても慕っているのだ。
このお泊まり企画を提案してくれたのはユフィだった。
共々働き、子どもたちを遊びに連れて行くことが滅多にできないクラウドとティファは、そう提案してくれたユフィにとても感謝している。



「行ってくるね、ティファ」
「いってらっしゃい。ちゃんといい子でいるのよ」
子どもたちといつもの会話を交わし、ティファは改めてユフィに向き直る。
「よろしくお願いします」
そういうティファにユフィは自信満々に自分の胸を叩く。
「こっちはドンと任せなさい! で、そんなことよりも……」
そう言って一旦言葉を区切ると、ユフィはティファの耳元にこっそりとささやいた。
「クラウドにチュウしてって言うんだよ?」
にやりと笑うユフィにティファは顔を真っ赤にする。
「ユ、ユフィ!」
そんなティファに向けてユフィはペロリと舌を出すと、デンゼルとマリンの手を引いて、いつものように軽やかな足取りで店を後にした。


三人の姿が見えなくなるまで見送ってから、ティファは店の中に戻る。
一人きりになった店内は物音ひとつなく、先程までの賑やかさがあった分、それは否が応にもティファをひどくさみしい気持ちにさせた。
カウンターの上に置きっぱなしになっている雑誌の謳い文句も、そのさみしさに拍車をかける。
ティファはポケットから携帯電話を取り出した。
どんな場所にいても、相手と連絡をとることができる便利な電話。
―― ひとりはさみしいから今日は早く帰ってきてね
仕事に出ているクラウドにそう甘えてみようと思った。けれど同時に、こんなことを言ったら困った顔をするかも、とボタンを押す指が止まる。
ユフィから考えすぎだと苦言を呈されたばかり。
でも急に直せるはずもないとティファがため息をついたそんな時、手に持っていた携帯電話から着信音が鳴った。
突然のそれにビクッとしながら着信表示を見ると、それは今まさに電話をかけようかかけまいかと迷う相手からの着信だった。
迷っていたティファにとって相手からの着信は少なからずの後押しとなり、その勢いのままに通話ボタンを押す。

『ずいぶん早いな?』
電話に出たのが思いのほか早くて驚いたのか、クラウドの第一声は苦笑いを混じえたようなそれだった。
「そ、そうかな?」
しどろもどろで答えて、どうしたのかと話題を変える。
電話越しにクラウドのふっと笑う声が耳に触れ、そうしてから申し訳なさそうな声が続いた。
『今、急な配達が入って今日は帰りが遅くなりそうなんだ』
携帯をにぎるティファの顔が曇った。
言おうとしていた真逆のことを先に言われてしまい、そのタイミングの悪さに言葉をなくしたのだ。
そんな沈黙は姿見えない相手の心配を誘う。
『ティファ?』
呼びかけられて我に返り、ティファは慌てて会話をつなげた。
「あ、うん、わかった」
『夕飯はこっちで適当に済ませるから用意しなくていいぞ』
「……うん」
帰宅は相当遅くなると言われたみたいで更に気落ちする。
そうする気持ちが声に表れていたのか、クラウドにごめんなと謝られた。
「ううん、気にしないで。それよりクラウドお仕事がんばってね」
声色を明るくしてそう言うと、クラウドのふっと笑う声。
そしていつものやさしい声がティファの耳に触れた。
『ああ、じゃあまた後でな』
通話を終えたティファはそっと息をついた。
仕事なのだから仕方がない。
もし仮に今のこのような場面で早く帰ってきてと言ったら、それは甘えではなく単なるわがままだ。
そう自分に言い聞かせて、ティファは表にある準備中の札を営業中へと切り替えた。



クラウドが帰ってきたのは、店を閉めてから程なくしての時間帯だった。
電話の様子から帰宅は深夜になるだろうと思っていただけに、表から聞こえたフェンリルのエンジン音はティファの顔をパッと輝かせた。
うれしさのあまり、帰宅の主がとびらを開ける前に自分からそのドアを開けて彼を迎え入れる。
「おかえりなさい、クラウド」
出迎えたクラウドは、まだゴーグルをかけたままだった。
そこに隠されている瞳の表情は見て取れないけれど、あまり多くを語らない口の端がキュッと上がったことから、クラウドが笑んでいることはわかった。
「ただいま、ティファ」
そう言って、ゆっくりと外したゴーグル。
クラウドの碧い瞳はティファの想像通りにやさしくて、胸をドキドキとさせた。
「思ってたよりも早く終わったんだね」
「ああ、もっと時間かかると思ったけど……」
そう言って店内に入ったクラウドは二階へと続く階段に目を向けた。
「デンゼルたちはもう寝たのか?」
いつもならエンジン音を聞いて二階から我先にと駆け下り、自分を出迎えてくれるはずのふたりの姿がない。
確かにいつもより遅い帰宅ではあったけれど、就寝につくほどの時間帯ではなかったことがクラウドにそう聞かせた。
「今日はユフィの家にお泊まりの日じゃない」
そのことを忘れている感じのクラウドに、ティファはからかうような口振りで教える。もちろん、自分もユフィが来るまですっかり忘れていたことは内緒だ。
「ああ、そういえば今日だったか」
数日前からデンゼルたちが今日の日を待ち遠しそうにしていた様子を思い出して、クラウドは決まり悪そうに苦笑した。
そうした顔が可笑しくて、ティファはくすくすと笑う。
するとクラウドは、碧の瞳をやわらかにしてそんなティファを見つめた。
「じゃあ、なおさら悪いことしたな」
「ん?」
クラウドの言わんとしていることが分からなくて聞きかえす。
そうしたティファの前でクラウドは右手に嵌めていたグローブを外し、素手になったその手でティファの白くやわらかな頬にそっと触れた。
「ひとりでさみしかったんじゃないのか?」

―― ふたりがいないとさみしいね
子どもたちがお泊まりでいない日、ティファはいつもそう口にしていた。
そんな日に早く帰って来れなかったことをクラウドは気にしてくれたのだ。
どんな甘い言葉よりも、ふとした時に口にするクラウドのこういうやさしさがティファはとても好きだった。
今、頬に触れている手の温かさが、そのままクラウドの心の温かさを象徴しているとティファは思う。
その温かさに触れ、やさしく見つめてくる碧い瞳に魅入られて、ティファは返事をするのも忘れて惚ける。
一方クラウドは、そんな惚けた顔で見つめ続けるティファを前にして、自分の言った言葉がだんだんと気恥ずかしく思えてきた。
「シャワーでも浴びてくるかな?」
返事をするのも忘れるほど心奪われた様子のティファに苦笑いながら、クラウドはひとりごとのようにそう呟いた。
そんなふうに照れくさそうにする笑顔にもティファの胸はキュンと高鳴る。
そして今、その彼にぎゅっと抱きしめてもらいたい、その腕の中でやさしいキスをして欲しいとティファはごく自然にそう思った。
クラウドは背を向けて歩きかけていたが、ティファはとっさに彼を呼び止める。
呼び止められて振り向いたクラウドは、先程の照れくささをわずかに残したような顔。
そんな表情を見てしまったら、ティファは彼と同じように照れくさくなってしまい、途端に言葉をうまく紡ぐことができなくなった。
「あ、あのね」
「どうした?」
クラウドがゆっくりとティファの前に戻る。
「うん、あの……」
同じ言葉の繰り返しがクラウドを笑わせた。
「“あの”はもういいよ。なに?」
顔を覗き込むようにして聞くクラウドのからかうような眼差しがティファの顔を赤く染める。
「う、うん、ええっと……あの…」
完全に舞い上がっているティファがやっぱり繰り返した言葉はまたクラウドを笑わせた。
そんな顔にますます赤面しながらもティファは、
「あのね、クラウド」
「ん?」
「……キス、して」
勇気を振り絞ってやっと告げた言葉。
そんなティファの言葉を耳にして、クラウドの表情からはそれまでの人をからかうような笑みがすうっと消えた。
「えっ?」という短い言葉を発したきり何も言わない。
そうしたクラウドの様子は今の事態を飲み込めていないように見えて、それが一層ティファの羞恥心を煽った。
やっぱり言わなければよかったという後悔がじわじわと押し寄せて、いてもたってもいられない。
そしていつまで待ってもクラウドからの返事がないことに耐えられなくなって、ティファは恥ずかしさをごまかすように笑って両の手を大きく振った。
「な、なんでもないの。うん、なんでもない。い、今の忘れて?」
早口でそう言うと、艶やかな黒髪を翻しながらくるりとクラウドに背を向けた。
その瞬間、ティファは強い力で腕を掴まれる。
突然のことで身体のバランスが崩れ、よろめきそうになったティファの身体はクラウドの逞しい胸の中にすばやく抱きとめられる。
「もう一度……」
クラウドの掠れたような声が耳に触れ、抱かれる腕に一層の力が込められた。
「ティファ、もう一度言って?」
耳に伝わる速い心音がクラウドのものなのか自分のものなのか、今のティファにはもう分からない。
ただ彼の言った言葉だけがティファの頼りない思考の中でずっと木霊していた。
抱かれる腕の中でティファがそっと顔を上げる。
やさしく見つめ返してくる碧の瞳に後押しされながら……
「クラウド……キス、して」
言い終わるか終わらないかのうちに、ティファはクラウドにやさしく唇を塞がれた。



「気持ち、読まれたのかと思った」
甘い口づけのあと、クラウドがぼそっと言った。
きょとんとするティファの前で、クラウドは耳を赤くしながら照れくさそうに笑って続ける。
「いや、俺もティファにキスしたいなって思ってたから……」
ティファの脳裏に昼間のユフィの言葉が甦る。

―― 自分がキスしたいと思ったときは相手もしたいって思ってるもんなの!

長々と書かれた雑誌の活字よりも、いま一番ピタリとハマった言葉。
そういうものなのかもしれない、とティファはふたたび抱きしめられたクラウドの胸の中でひとり笑みを零した。


キスしてと言われてパニックになったのはクラウドのほう。きっとそうに違いない。

(2008.01.12)
(2018.09月:加筆修正)

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